大学院担当科目 板谷 淳一(Jun- ichiItaya)
 
[1]公共政策論
[2]大学院演習

 

[1]公共政策特論

 公共政策特論では、大学院レベルの公共経済学の知識を習得することを目的とします。公共経済学の内容は、現在、きわめて多様な分野に及びます。例えば、マクロ経済における経済政策のあり方、社会厚生を最大にするような所得分配や税制度のあり方、公共財の最適供給の仕方、環境問題ための経済決策、公益事業体の最適運営のあり方、政治経済学(利益団体、官僚、投票者などの行動)の経済的分析などであります。また、分析に適用される経済理論および分析手法も多岐に及びます。例えば、経済動学の手法、ゲーム理論、ミクロ経済学などがあります。したがって、本講義では、標準的な公共経済学の理論を学ぶだけではなく、公共経済学でしばしば用いられる分析手法についても学ぶことを目的とします。これらの分析手法に習熟することによって自分でモデル・ビルディングを遂行する能力を養うことは、修士論文あるいは博士論文を書いたり、将来、より高度な研究を進めるために必須であることは言うまでもありません。また、関連する授業、特にミクロ経済学、マクロ経済学、ゲーム理論、財政学等の履修を強く勧めます。 
 授業は、輪読形式で毎年指定された文献(英語)の購読および発表を行うことによって進めます。ただし、授業の履修者が多数になる場合は講義形式で行うこともあります。報告者は、テキストに書かれている内容(数式の導出および数学的証明を含めて)を完全に理解して報告することを前提とします。報告者以外の者は、報告者の発表を聞いて、質問もしくは議論を行うことを義務とします。成績評価は発表のパーファーマンスおよび発言や質問による授業への参加の度合いなどを総合的に判断して行います。


 最後に、過去に大学院の授業で使用された(および今年度使用予定の)テキストを掲げておきます(テキストとして使用されたのが古い順に並んでいます)

  • Aghion, Philippe and Peter Howitt, 1998, Endogenous Growth Theory, The MIT Press.
  • Wellisch, Dietmar, 2000, Theory of Public Finance in a Federal State, Cambridge University Press.
  • Cornes, Richard and Todd Sandler, 1996, The Theory of Externalities, Public Goods, and Club Goods, 2nd edition, Cambridge University Press.
  • Ljungqvist, Lars and Sargent, Thomas J., 2000, Recursive Macroeconomic Theory, Cambridge University Press.
  • Tresch, R.W., 2002, Public Finance: A Normative Theory, 2nd edition, Academic Press.
  • Walsh, Carl E., 2003, Monetary Theory and Policy, 2nd edition, The MIT Press.
  • David  De La Croix and Philippe Michel, 2002, A Theory of Economics Growth: Dynamics and Policy in Overlapping Generations, Cambridge University Press.
  • Ermisch, Jhon, F., 2003, An Economic Analysis of the Family, Princeton University Press.
  • Persson, Torsten, and Tabellini, Guido, 2002, Political Economics: Explaining Economic Policy, The MIT Press.
  • Epstein, Gil S. and Shmuel Nizan, 2007, Endogenous Public Policy and Contest, Springer.
  • Bertola, Giuseppe, Reto Foellni, and Josef Zweimuller, 2006, Income Distribution in Macroeconomics Models, Princeton University Press. (2010年度大学院使用テキスト).
  • McCarty, Nolan and Adam Meirowitz, 2007, Political Game Theory, Cambridge University Press, NewYork.  (2010年度大学院使用テキスト).
  • Gintis, Herbert, 2009, Game Theory Evolving, Second Edition: Problem-Centered Introduction to Modeling Strategic Interaction, Princeton University Press, Princeton and Oxford.  (2011年度および2012年度大学院使用テキスト).
  • Aghion, Philippe and Peter Howitt, The Economics of Growth, The MIT Press, Cambridge, Massachusetts, London, England. (2011年度および2012年度大学院使用テキスト)
  • Gordon C, Rausser, Johan Swinnen and Pinhas Zusman, 2011, Political Power and Economic Policy: Theory, Analysis, and Empirical Applications, Cambridge University Press, NewYork, (2013年度および2014年度大学院使用テキスト).
  • Martin Browning, Pierre-André Chiappori and Yoram Weiss, 2015, Economics of the Family (Cambridge Surveys of Economic Literature), Cambridge University Press, NewYork. (2014年度から2016年度大学院使用テキスト).
  • Patricia Apps and Ray Rees, 2009, Public Economics and the Household, Cambridge University Press, NewYork. (2016年度および2017年度大学院使用テキスト).

 

[2]大学院演習

 修士課程の学生は、修士論文を執筆するための準備として関連文献の内容を要約して発表します。修士課程の2年目の夏休み前までに、関連文献のサーベイを終了することを目標とします。修士論文は必ずしもオリジナルな貢献を含むような高度な水準を要求しないが、たとえサーベイ論文であっても、将来の博士論文の出発点になるような新しい問題点の発見や新しい視点からの問題の整理などを行うことが望まれます。

 博士課程の学生は、博士論文の各章を構成するオリジナル論文(オリジナル論文とは既存の学問的所産に対して何らかの新しい発見あるいは知見の貢献を行うという意味です)を最低3本の論文を書くことを目標とします。1年に数回これらの論文について大学院のセミナーあるいは学部内のセミナーで報告することを目標とします。また、博士号取得のための要件として、最低1本の論文は内外の査読付き雑誌に掲載もしくは掲載予定であることと、全国規模の学会(日本経済学会等)での発表を1回以上行うこととします。

過去に主査として審査した博士号請求論文(敬称略)

(1)         山口力 『Fiscal Competition in a Federal State with Mobile Population (連邦制における人口移動を通じた財政的競争)』(2005年度に提出された博士号請求論文).

(2)         大沢俊一 『税の生産を通じての厚生への効果の考察』(    年度に提出された博士号請求論文).

(3)         青木芳将 『Essays on Optimal Monetary Policies (最適貨幣政策)』(    年度に提出された博士号請求論文).

(4)         天野大輔 『Essays on taxation and indeterminacy in growth models (成長モデルにおける課税と不決定性に関する研究)』 (    年度に提出された博士号請求論文).

(5)         梅田正信『日銀の政策形成』(2011年度に提出された博士号請求論文).

(6)         佐野博之『Game-theoretic Approaches to the Rent-dissipation Problem in the Social Cost of Rent-seeking Activities (レント・シーキング活動の社会的費用におけるレント消失問題に対するゲーム論的アプローチ)』 (2011年度に提出された博士号請求論文).

(7)         佐野浩一郎『Essays on Inequality, Education, and Economic Growth (不平等、教育と経済成長) (2011年度に提出された博士号請求論文).

(8)         金盛直茂『Essays on Social Status, Trade and Rent-seeking in Dynamic Economies (動学経済における社会的地位、貿易およびレントシーキングに関する研究)  (2013年度に提出された博士号請求論文).

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