プロフィール 板谷 淳一 (Jun-ichi Itaya)


·      研究領域

公共経済学(Public Economics
経済成長論 (Economic Growth Theory)

 わたしの専門分野は公共経済学です。今日、市場経済は地球的規模でその普遍性を獲得してきましたが、他方、環境問題や所得分配の不平等といったいわゆる『市場の失敗』が起きています。また、多くの先進資本主義国では公的部門の比重が高まっていますが、しばしば、民間部門に比較してその経済的非効率性が問題にされたり、場合によっては、規制緩和や公企業の民営化が行われています。公共経済学ではこのような市場の失敗の原因とその処方箋及び公的部門の規制のあり方について研究する分野です。

 わたしは、特に、公共経済学の中でも公共財の自発的供給理論という分野を研究しています。チャリティ、家庭内の家事、ボランティア活動、NGO活動やNPO活動、宗教法人や政治団体への寄付、企業のメセナ活動、発展途上国に対する経済援助、各国政府による地球環境問題への自主的な取り組みなどは、寄付は自発的貢献活動を行う主体が必ずしも直接的な経済的見返りを期待していないという点で、従来の市場経済の枠組みを越えた活動であり、非市場的活動と呼ばれています。わたしの研究はこのような活動をゲーム理論やミクロ経済学を用いて経済学的に分析することです。最近、わたしはこのような研究を財政再建における利益団体の行動分析に応用しました。現在、さらに、利益団体の行動のような政治経済学の分野にも強い関心を持っています。これと関連しますが、紛争あるいは戦争における行動を分析するために微分ゲームの応用というテーマで論文を書いています。

 他方、公共財の自発的供給理論では個人の利他主義的な選好の存在を前提として経済分析をすすめていますが、このような個人がなぜ存在するかという問題は私の長年の関心事でありましたが、今日盛んに研究されている進化論的ゲーム理論(evolutionary game theory)での最もホットな問題である選好の内生化という問題と深いつながりがあり、現在、この分野の最先端の成果を勉強中です。

2000年以降は、地方分権の経済学、特に、租税競争における租税協調の可能性について動学モデル(繰り返しゲーム理論)を応用することによって明らかにしようという研究にも取り組んでいます。

 私が取り組んでいるもう一つの研究分野は、成長経済における租税の効果です。現在の新古典派経済学における成長理論では、経済主体の厳密なミクロ的基礎を前提とした世代交代モデルと無限期間に生きる代表的個人モデル(ラムジー型の成長モデルとも呼ばれています)が主流になっています。このような経済において、さまざまな税金、たとえば、消費税、労働所得税、および利子課税が経済や経済成長に対してどのような影響を与えるかを研究しています。さらに、成長経済に貨幣を導入した貨幣的経済成長モデルにおける税効果についても研究を進めています。

 このように、問題意識あるいは関心の出発点は公共経済学にありますが、現在の関心や研究テーマはより非市場的な経済問題へと移ってきています。


·      学 位

経済学修士号(北海道大学大学院経済学研究科)
Ph.D. (
米国ロチェスター大学大学院)


学 歴

昭和494月  北海道大学文類課程入学
昭和533月  北海道大学経済学部卒業
昭和534月  北海道大学大学院経済学研究科修士課程入学
昭和553月  北海道大学大学院経済学研究科修士課程卒業
昭和554月  北海道大学大学院経済学研究科博士課程入学
昭和569月  米国ニューヨーク州ロチェスター大学大学院 経済学研究科         Ph.Dコース入学
昭和593月  北海道大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学


職 歴

昭和59年 4月  北海道大学経済学部助手
昭和61年 4月  小樽商科大学商学部講師
昭和6210月  小樽商科大学商学部助教授
平成 710月  小樽商科大学商学部教授
平成1010月  北海道大学経済学部教授へ転任
平成12年 4月  北海道大学大学院経済学研究科教授

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