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シノドス・セミナー開催のお知らせ

橋本努

20081129

 

テーマ:経済倫理で考える現代イデオロギー

 

セミナー概要

 

 二大政党制や政権交代が求められているというのに、政策をめぐって論争らしい論争が起きていない。こんな政治でよいのだろうか。

福田政権の拙なさは、政治的信念やビジョンが希薄な点にあった。新たな問題が浮上するたびに、その都度の民衆の意向によって右にも左にも揺れてしまった。無理もないだろう。そもそも私たちがあまりにも機会主義的に動くために、どんな社会が望ましいのかという「社会ビジョン(=イデオロギー)」の構想力を、枯渇させてしまっているからだ。いまの議会に論争が乏しい理由は、私たちが議論を避け、メディアが生み出す情動というものに脆くなっているからではないだろうか。

 真の民主主義を回復するためには、やはり床屋談義でもって、下から議論を積み上げていく必要があるかもしれない。日々の時事問題に接して、私たち一人ひとりが、自分の経済倫理的な直観から出発して、できるだけ一貫した論理を紡ぎ出していく。例えばライブドアの元社長ホリエモンのような存在を、どう評価すべきだったのか。健康管理上の理由から、マクドナルドのようなファストフード店を規制すべきかどうか。あるいは経営危機に陥った銀行を、政府は救うべきだろうか、等々。こうした日々の経済倫理問題に対して、自分の応答を一貫させていくと、私たちはあるタイプの考えにいたりつく。それが何と呼ばれるイデオロギーなのか。セミナーでは時事問題に即して、いくつか簡単なアンケートを試みたい。それでもって結果として選んだ政治的立場から、今度は他人を説得したり、あるいは説得されたりという、誘惑の説得戦術を楽しみたい。(これまでの経験から、これは結構、白熱すると思う。)

 

 

橋本努(はしもと・つとむ) 1967年、東京生まれ。北海道大学大学院経済学部教員。専門は社会哲学。著書に、『自由の論法』(創文社)、『社会科学の人間学』(勁草書房)、『帝国の条件』(弘文堂)、『自由に生きるとはどういうことか』(ちくま新書)、『経済倫理=あなたは、なに主義?』(講談社メチエ)。共編著に、『日本マックス・ヴェーバー論争』(ナカニシヤ出版)、『経済思想第8巻』(日本経済評論社)、など。

 

 

*私にとって二回目となるセミナーです。詳細はシノドスのホームページにて。