HOME

 

シノドス・セミナー後記200801

橋本努

 

 

 かなり面白いことになっている。

 去る2008年1月x日、東京世田谷の閑静な住宅街にある芹沢一也さんのオフィス(シノドス)でセミナーを開催した。

セミナーというよりも、みんなでワイワイしゃべる会。鈴木謙介さんや荻上チキさんも参加して、かなり熱い、しかも、しっかりと噛み合った議論になったのだ。

当初は2時間の予定であったが、結局、合計すると、9時間も話していた。14時すぎからセミナーをはじめて、セミナー参加者たちと、21時頃まで飲んだり食べたりしながらワイワイした。それからさらに飲みに出かけて、23時頃に恵比寿で別れた。もちろん、途中で退席された方もいるけれど、これだけ濃密なコミュニケーションを楽しめるというのは、シノドスならではの魅力ではないだろうか。足を運んでみようかと迷っている人には、ぜひオススメ。セミナーの空間も、ちょうど10人くらいがくつろげるような、極上の演出になっている。

私の報告は一時間くらいだったけれども、セミナーから刺激を受けたのは、むしろ私のほうだった。いくつもの着想がうまれた。それから、参加者同士、コミュニケーションの場となっているというのも、魅力的。セミナーには、市井の市民、編集者、メディア関係者、それから、鈴木さんや荻上さんのような社会学者も参加したりするのだから、面白くないはずがない。今度は私もオーディエンスとして、別のセミナーに参加してみたい。

シノドスの有料メルマガでは、これからいろいろなコンテンツが配信される予定だという。そのための準備として、当日は芹沢さんと私と二人で、思想研究のきっかけや動機など、さまざまなことを語り合った。芹沢さんは1968年生まれで、私より一つ年下。同世代として、いろいろなことを共有している。この同時代経験を大切にしたい。

 芹沢さんのような一流の論客が、どうも新たな思想ムーブメントを起こそうと企てているようだ。かなり野心的なそのプロジェクトに、私も刺激を受けた。つまり、これまでプロの編集者がやってきたような「思想・批評の空間作り」を、思想家・批評家主導でやるというわけで、かつての『批評空間』のような精神を継承しようという。もちろん、シノドスはそれ以上のことを考えている。シノドスの活動に、これからも注視していきたい。