マルクス『ゴータ綱領批判』[1875=1975]岩波文庫
RANDGLOSSEN ZUM PROGRAMM DER DEUTSCHEN ARBEITERPARTEI(KRITIK DES
GOTHAR PROGRAMMS)
◆時代状況
・1870年代は、自由主義段階から独占資本主義(帝国主義)段階への移行期。1873年から20年間の不況。
・1862-1890:ビスマルクの政治。1866年、普墺戦争(プロイセン対オーストリア)、1870-71年、普仏戦争。1871年、ドイツ統一。1918年に第一次世界大戦に負けるまで存続。
・【社会主義者鎮圧法】1878-1890.二度の皇帝暗殺未遂事件を契機に、社会主義的な結社の禁止、集会・出版の自由の制限を規定した。しかし非合法活動やドイツ社会民主党の勢力は衰えなかったため、80年代に労働者の疾病保険、災害保険などの社会政策を実施し、アメとムチの政策を行った。ビスマルクの失脚により廃止。
・【全ドイツ労働者同盟】1863(ラサール派:国家社会主義)ビスマルク=ユンカーと提携して共通の敵ブルジョアジーを脅かそうとした。国家補助による生産協同組合の設立。
⇔【ドイツ社会民主労働党】1869(アイゼナハ派:マルクス主義に近い)ベーベルとリープクネヒトによる創立。
→【ドイツ社会主義労働者党】1875(ゴータに会して合同、統一)ゴータ綱領は、リープクネヒトらによって執筆される。
→【ドイツ社会民主党】1891:エルフルト綱領(草案はリープクネヒト)により、マルクス主義の原則を採用。1912年には110議席を獲得し、最大政党に発展。1933年、ヒトラー政権によって解散。第二次世界大戦後、復活し、マルクス主義と絶縁して1959年に国民政党となる。
・【パリ・コミューン】1871.3-5.パリの労働者と急進的小市民は、国民軍を組織してドイツに抵抗しつつ、史上初のプロレタリア独裁の政府を築く。しかし、地方の農民層を動かせなかったことや、ベルサイユの政府軍の武力のために「血の週間」と呼ばれる流血の惨事となった。
・【インターナショナル】労働者階級の国際的な団結と解放を目指す国際的組織。
・【第1インターナショナル】1864-76(=国際労働者協会)イギリス、フランスの労働運動指導者が中心。規約はマルクスが作った。バクーニンらアナーキストとの対立が激しくなって解散。1872年に事実上の解散。
・【第2インターナショナル】1889-1914.ドイツ社会民主党が中心になってパリで結成。ゆるい連合体で論争が多かった。第一次世界大戦で愛国主義に転換、解散。
・【第3インターナショナル】1919-1943.(=コミンテルン)Communist International = Comintern.
レーニンによってモスクワで結成。1930年代には反ファシズム人民戦線を遂行したが、独ソ不可侵条約によって方向を失う。第二次世界大戦中、アメリカとソ連の協力推進のために解散。
◆思想状況
・ラサール(1825-64)の国家社会主義、プルードン(1809-65)の経済革命主義、バクーニン(1814-76)の国家廃絶による連合主義。マルクスはこれらの思想と対決していた。
・ゴータ綱領は、ラサール派とアイゼナハ派の統一綱領であるが、マルクスは、この綱領がラサール的国家観に毒されていると感じ、批判をする。
・「ゴータ綱領批判」は、「ドイツ労働者党綱領評注」というマルクスの手紙を中心に構成されている。この手紙は、ゴータ合同大会のすこし前に、ガイプ、アウアー、ベーベル、リープクネヒトに廻したあと送り返すように、と書き添えてマルクスがブラッケに送ったものである。
ドイツ労働者党綱領(ゴータ綱領)評注
◆労働論
G「労働はすべての富とすべての文化の源泉である。」(25)
M「労働はすべての富の源泉ではない。自然もまた労働と同じ程度に諸使用価値の源泉である。……人間があらゆる労働手段と労働対象との第一の源泉である自然に対し、はじめから所有者として関係を結び、それら労働手段と労働対象とを自分自身に属するものとして取り扱う場合にのみ、労働は諸使用価値の源泉となり、かくしてまた富の源泉ともなるのである。」(25-26)
G「効用を生む労働は、ただ社会のなかでのみ、また社会を通じてはじめて可能である。」
M「ただ社会のなかでのみ、効用ゼロの、公共に害をもたらすような労働も一個の生業部門となることができ、ただ社会のなかでのみ、何もせず生きていくことができる」(27-28)
G「今日の社会では、労働手段は資本家階級の独占物である。」(30)
M「今日の社会では、労働手段は土地所有者と資本家階級の独占物である。」
→ラサールは、土地所有者には目をつぶって資本家階級だけを攻撃した。(31)
◆社会主義における社会的総生産物の用途
・労働収益=労働の生産物=社会的総生産物とする。(33)
→ここからまず次のものを控除する。@消耗した生産手段を入れ換えるための補填部分、A生産を拡張するための追加部分、B事故や自然災害に備える基金。
→さらに、残りの部分が個人に分配される前に、その中から次のものが差し引かれる。
1)直接に生産に属さない一般的な行政費用。これは社会の発展とともに減少する。(34)
2)学校や衛生設備などのように、さまざまな欲求を共同で満たすためにあてられる部分。これは社会の発展とともに増大する。
3)労働不能者などのための基金。公共救貧事業のための基金。
◆共産主義社会の権利
・「ここで問題にしているのは、それ自身の基礎の上に発展した共産主義社会ではなくて、反対に、資本主義社会から生まれたばかりの共産主義社会である。」(35)
・「彼が社会に与えるものとは、彼の個人的労働量である。たとえば、社会的労働日は、個人的労働時間の総和からなる。……個々の生産者は……これこれの量の労働を給付したという証書を社会から受け取り、そしてこの証書をもって消費手段の社会的な蓄えのなかから、それとちょうど等しい量の労働が費やされている消費手段を引き出す。/ここで支配しているのは、商品交換――それが等価物の交換である限りで――を規制するのと明らかに同一の原則である。」(35-6)
→〈原則〉と〈法則〉の区別。
・「だから、平等な権利とは、ここでもまだやはり原則的には、ブルジョア的権利である。」(36)「生産者たちの権利は彼らの労働給付に比例しており、平等が、平等の尺度つまり労働で測られているのである。……ここでの平等な権利は、不平等な労働にとっての不平等な権利である。……それは労働者の不平等な個人的天分と、したがってまた不平等な給付能力を、生まれつきの特権として暗黙のうちに認めている。だからそれは、すべての権利と同様に、内容においては不平等の権利である。……彼らを同じ視点のもとに連れてきて、ある特定の一面からだけ捉える[からである]……。例えば以上の場合では、諸個人はただ労働者としてだけ考察され、労働者として以外の彼らの資質はいっさい認められず、ほかのすべてが無視される限りにおいてである。」(37)「これらすべての欠陥を避けるためには、権利は平等であるよりも、むしろ不平等でなければならないだろう。」(38)
◆各人はその能力に応じて、各人にはその必要に応じて!
・「共産主義社会のより高次の段階において、すなわち諸個人が分業に奴隷的に従属することがなくなり、それとともに精神的労働と肉体的労働との対立もなくなったのち、また、労働がたんに生活のための手段であるだけでなく、生活にとってまっさきに必要なこととなったのち、また、諸個人の全面的な発展につれて彼らの生産能力をも成長し、協同組合的な富がそのすべての泉から溢れるばかりに湧き出るようになったのち――その時はじめて、ブルジョア的権利の狭い地平は完全に踏み越えられ、そして社会はその旗にこう書くことができる。各人からはその能力に応じて、各人にはその必要に応じて!」(38)
□「各人にはその仕事(oeuvre)に応じて」:産業者に対する正当な利潤の要求(サン・シモン主義)。「各人にはその労働(travail)に応じて」:労働者こそが真の生産者であるとする(労働者雑誌『ラトリエ』)1841。「各人からはその才能(faculté)に応じて」:マルクスと類似の言い回し(ルイ・ブラン)1850
□形式的平等と実質的平等の区別:権利の平等かつ一面的/権利の不平等かつ多面的
・「資本主義的生産様式の基礎は、物象的な生産諸条件が資本所有と土地所有という形態で働かざる者たちに配分されている一方、大衆は人格的な生産条件つまり労働力の所有者でしかない。……物象的な生産諸条件が労働者たちの協同組合的所有であるならば、今日のそれとは違った消費手段の分配方式が生まれるであろう。」(39-40)
◆国家補助
G「ドイツ労働者党は、社会問題解決の道をひらくために、労働人民の民主的管理のもとにおかれ国家補助を受ける生産協同組合の設立を要求する。」(49)
M「現におこなわれている階級闘争の代わりに、『社会問題』という新聞記者的な決まり文句があらわれ、その『解決』の『道がひらかれる』わけだ。」
「労働者たちが協同組合的生産の諸条件を社会的な規模で、まず自国に国民的な規模で作り出そうとすることは、彼らが現在の生産諸条件の変革を目指して働くということにほかならず、国家補助を受けて協同組合を設立することとはなんの共通点もないのだ。」(50)
◆国家の自由
・「国家を『自由』にすることが……労働者たちの目的であるはずがない。ドイツ帝国では、『国家』はロシアにおいてほとんど同じくらいに『自由』である。自由とは、国家を、社会の上位機関から社会の完全な下位機関に変えることにある。」(51)
◆国家制度と社会主義
・「国家制度は共産主義社会ではどんな変革をこうむるだろうか。そこでは現在の国家機能に似たどんな社会的機能が生き残るだろうか。この問題に答えうるのはただ科学的研究あるのみ……。」(53)
・「資本主義社会と共産主義社会のあいだには、前者から後者への革命的な転化の時期がある。この時期に照応してまた政治的な一過渡期がある。この過渡期の国家は、プロレタリアートの革命的独裁以外のなにものでもあり得ない。」(53)
◆教育問題
G「ドイツ労働者党は、国家の精神的、道徳的基礎として次のことを要求する。1.国家による普通平等の国民教育。一般的就学義務。無料教育。」
M「教育がすべての階級にとって平等でありうるとでも信じているのであろうか。それとも、家計状態から見るかぎり賃金労働者だけでなく農民にとっても負担できる唯一の普通教育――つまり小学校の教育――の水準に、それより上層の諸階級の教育も強制的に引き下げなければならない、と要求するのか。/……合衆国のうち二、三の州では『より上級の』教育施設も『無料』になっているが、それは事実上、より上層の諸階級が自分たちの教育費を一般の税金から支弁することを意味するに過ぎない。……/学校に関するパラグラフでは、少なくとも小学校と結びついた工業学校(理論的および実際的な)を要求すべきであった。」(56-57)
◆最後の一文
・「われは語り、かくて我が魂を救えり(Dixi et salvavi animam mean)」:私はあらかじめ警告を発しておいた、それゆえ以降の事態については責任を負わない、という意味。
国際労働者協会創立宣言(1864.9.28)
・「この[大蔵大臣が述べる]『まったく有産階級だけに限られている、人を陶酔させるような富と力の増大』を、どんな破壊された健康と、汚れた品性と精神的荒廃という諸条件のもとで、労働者階級が作り出したか、また今なお作り出しているかを知りたければ、最新の『公衆衛生報告書』に記された捺染(ナツセン)工、仕立工、裁縫女工たちの職場の状況をとくと見よ!」(146)
→(報告書より)「清潔などということは、そのこと事態がずっと以前から、カネと手間ばかりくうものということになってしまっている。自尊心にかられて少しでも清潔さを保とうなどとつとめようものなら、そうつとめるだけ余分に飢えの苦しみを一つ一つ増すことになる。」(144)
◆労働者階級
・「イギリスの労働者階級は、驚くべき粘り強さで三〇年間も闘ったのち、土地貴族と貨幣貴族のあいだの一時的な決裂を利用して、一〇時間法案を通過させることに成功した。」(151)「労働時間の法律的制限をめぐるこの闘争は、……需要供給法則の盲目的支配という中間階級の経済学と、社会的生産を社会的な洞察と予言をもって統御するという労働者階級の経済学とのあいだの決定的な争点をなしていた。……それは一つの原理の勝利であった。中間階級の経済学が白日のもとで労働者階級の経済学に屈伏したのは、これがはじめてであった。/だが資本の経済学に対する労働の経済学のもっと偉大な勝利が、まだあとに控えていた。……協同組合運動、ことに少数の大胆な『働き手』の事業である協同組合工場のことである。……近代科学の進歩と歩調を合わせて大規模に営まれる生産は、『働き手』の階級を雇う主人の階級がいなくてもやっていけるということ、……賃労働は、奴隷労働や農奴労働と同じように、ほんの一時的な下級の社会形態にすぎず、自発的な手と健全な精神、そしてまた喜びに満ちた心臓と勤労にいそしむ結合労働に席を譲って消滅すべき運命にあること、これである。イギリスで協同組合組織の種をまいたのはロバート・オーウェンであった。」(153)
・「勤労大衆を解放するためには、協同組合組織を国民的な規模で発展させる必要があり、したがって国民の資金でそれを助成する必要がある。/したがって今や、政治権力を獲得することが労働者階級の偉大な義務となった。」(155)
・「国際政治の秘密に精通すること、それぞれ自国の政府の外交的行動を監視し、必要とあらばその行動を妨害すること、阻止できない場合には各国いっせいの弾劾運動に立ち上がること、こうして私人の関係を律すべき道徳と正義の単純な法則を諸国民の交通の最高法則として貫徹させること、これが彼らの義務である……。/このような対外政策を要求する闘争は、労働者階級の解放をめざす全般的闘争の一環をなすものである。
万国のプロレタリア団結せよ!」(156)
[資料]社会民主労働者党綱領(アイゼナハ綱領・1869年)
第1条 社会民主労働党は、自由な人民国家の樹立を目的とする。
第2条 社会民主労働者党の党員はすべて、全力をあげて次の基本原則を擁護する義務を負う。
1.今日の政治的、社会的状況は極度に不公平であるがゆえに、全精力をあげてこれと闘わねばならならない。
2.労働者階級の解放をめざすと闘争は、階級的特典や特権を目指す闘争ではなくて、平等な権利と平等な義務を、そしてあらゆる階級支配の廃絶を目指す闘争である。
3.資本家に対する労働者の経済的従属は、あらゆる形態の隷属の基礎をなしている。したがって社会民主労働党は、協同組合的労働を通じて現在の生産様式(賃金制度)を廃絶し、そのもとで全労働収益を労働者それぞれのものとするよう努力する。
4.政治的自由は、労働者階級の経済的解放のための最も不可欠な前提条件である。それゆえに社会問題は政治問題と不可分であり、社会問題の解決は、政治問題に制約されており、民主主義国家においてのみ可能である。
5.労働者階級の政治的、経済的解放は、労働者階級が共同し統一して闘争を進めるときにのみ可能であることを考慮して、社会民主労働者党は、統一的な一組織を結成する。しかしながらこの組織は、いかなる個々の党員にも、全体の利益を目指して彼が影響力を行使することを可能ならしめる組織である。
6.労働の解放は、一地方あるいは一国民の課題ではなく、社会的課題であり、近代社会を存立せしめている国々すべてを包括する社会的課題であることを考慮して、社会民主労働者党は、結社法がそれを認めるかぎり、国際労働者協会の追求する目的を支持しつつ、党を同協会の支部と自認するものである。
第3条 社会民主労働者党は、その宣伝活動上の当面の要求として、つぎのような諸項目を主張する。
1.20歳以上のすべての成年男子に、国会、各領邦の議会、州および市町村代議機関ならびにその他すべての代議体のための選挙にかんする普通・平等・直接・秘密選挙の賦与。選出された代表者には、十分な日当を保証すべきである。
2.人民による直接立法制度(すなわち発議権と拒否権)の採用。
3.身分、財産、出生および信仰にもとづくあらゆる特権の廃止。
4.常備軍にかわる民兵制の創設。
5.国家からの教会の分離、および教会からの学校の分離。
6.小学校における義務教育とすべての公共教育施設における無料教育。
7.裁判の独立、陪審裁判および専門職裁判制度の採用。公開かつ口頭弁論訴訟制度の採用と無料訴訟。
8.すべての出版法、結社法、団結法の撤廃。標準労働日の制定。婦人労働の制限と児童労働の禁止。
9.すべての間接税の撤廃、および単一直接累進所得税ならびに相続税の制定。
10.協同組合制度の国家的促進、および民主的な保証のもとでの自由な生産協同組合に対する国家信用の供与。
[資料]ドイツ社会民主党綱領(エルフルト綱領・1891年)
以上の諸原則から出発して、ドイツ社会民主党は、さしあたり次のことを要求する。
1.すべての選挙と投票を通じ、男女の区別なく20歳以上の帝国国民の秘密投票による、普通・平等・直接の選挙権と投票権。比例代表制、その制定までの措置として毎回の国勢調査にもとづき法律により選挙区を再編すること。立法府議員任期制の二ヵ年制。選挙と投票の法定休日実施。選出された代表に対する報酬支給。禁治産宣言の場合をのぞき政治的権利のいっさいの制限の撤廃。
2.発議権と拒否権を手段とする人民の直接立法。帝国、各領邦、各州、各市町村における人民の自決と自治。人民による官吏の選出、官吏の答弁義務と引責義務。年度ごとの租税の承認。
3.国民皆兵制にむけての教育。常備軍にかわる民兵制。人民代表機関による開戦と講和の決定。すべての国際紛争の仲裁裁判的方途による調停。
4.表現の自由および結社と集会の権利を制限もしくは抑圧するすべての法律の廃止。
5.公法および私法の上で婦人を男子に対して差別待遇するすべての法律の廃止。
6.宗教を私事と宣言すること。教会および宗教的な目的のための、公費からの支出の全廃。教会団体および宗教団体は、各自の問題を完全自主的に処理する私的結社とみなされるべきである。
7.学校の非宗教化。公立小学校への義務就学。公立小学校における無料教育、および学用品と食事の無料支給。学力優秀で学業継続の資格ありと認められた高等教育機関における男女学生に対する同様の措置。
8.無料訴訟と無料弁護。人民の選出した裁判官による裁判。刑事事件における控訴権。罪なくして起訴され、逮捕され、有害宣告をうけた者への補償。死刑の廃止。
9.助産をふくむ医療の無料化と医薬の無料支給。埋葬の無料施行。
10.租税から支弁すべき全公費支出をまかなうための、累積的な所得税および財産税。自己申告義務。相続財産の額と親等に応じた累進的相続税。すべての間接税、関税、その他特権的少数者の利益のための公共の利益を犠牲にする経済政策上の諸措置の廃止。
労働者階級の保護のため、ドイツ社会民主党はさしあたり次のことを要求する。
1.つぎにのべる諸条件にもとづく有効な国内的および国際的な労働者保護立法の制定。
(a)最高8時間をこえない標準労働日の確定。
(b)14歳以下の児童に生計のための労働をおこなわせることの禁止。
(c)夜間労働の禁止。ただし技術的理由もしくは公共の福祉のためその性質上夜間労働を必要とする産業部門をのぞく。
(d)各労働者につき毎週一回少なくとも連続36時間の休息。
(e)現物給与制度の廃止。
2.帝国労働局、各県労働局および労働委員会による全営利事業団体の監督、都市と農村における労働関係の調査と規制。徹底的な営業上の衛生管理。
3.農業労働者と家事使用人に営利事業労働者と法律上平等の地位をあたえること。僕婢条例の廃止。
4.団結権の保障。
5.全労働保険の帝国への移管とその管理に対して決定権をもつ労働者の参加。